文章を構成するときに気をつけること

特にドキュメント作成が上手いわけではないですが、人の文章にツッコミをいれる側の人なので、新社会人の方に向けに、文章を書く時の観点などを伝えられたらと思います。個人の考えなので正しいかどうかはわかりません。

※この記事は「チームスピリット Advent Calendar 2020 - Adventar」に向けた投稿記事です。

主語と述語で成り立っているか

私は~した。僕は~する。君が~している。

いわば5W1Hです。しかし5W1Hを満たす文章はそうそうありません。それは5W1Hが文章の最小単位ではないからです。文章の最小単位は主語と述語です。5W1Hの前にまずは主語と述語で組み立てることが文章の基本になります。

例で考えてみます。

 

WSPの特徴は、勤怠や工数、経費精算を一つにまとめる機能を持っています。

よく見かける文章です。間違ってないように見えます。では主語と述語に注目してみます。

特徴は持っています。

持つことができるのはWSPです。主語がWSPに乗っ取られています。修正してみます。

WSPは、勤怠や工数、経費精算を一つにまとめる特徴を持っています。

もしくは、

WSPの特徴は、勤怠や工数、経費精算を一つにまとめる機能があることです。

このように主語と述語に着目すると文章のねじれが解消しやすくなります。

 

接続詞を多用していないか

~だから、~であって、~によって、

文章は短いほど読みやすいものです。文章を長くする要因の一つは接続詞です。しかし接続詞は分解できる文章を繋げているだけに過ぎません。

山田君はお小遣いを1000円貰ったので、コンビニでおやつを買おうと考えて、母親に「出かけてもいいか」と聞いたところ、「いいよ」という答えが返ってきたので、カバンを持って出かけていきました。

分解してみます。

山田君はお小遣いをもらった。コンビニでおやつを買おうと考えた。母親に「出かけてもいいか」と聞いた。母親は「いいよ」と答えた。山田君はカバンを持って出かけた。

 簡単に思えるかもしれません。しかしビジネスでは以下のような文章をよく見ます。

先日、ご報告いただいた不具合についてですが、3時間ほど調査いたしましたが原因がわからず、吉田さんにお聞きしたところ、サービス設定の方が間違っているのではないかと助言をいただきましたので、もう一度、サービス設定から調査しようと考えております。

人は丁寧に書こうとすると接続詞を使いがちになります。この場合は接続詞を少なくするだけでなく結論を先に書くことを私はお勧めします。

 

結論が先に書かれているか

先日、ご報告いただいた不具合についてですが、3時間ほど調査いたしましたが原因がわからず、吉田さんにお聞きしたところ、サービス設定の方が間違っているのではないかと助言をいただきましたので、もう一度、サービス設定から調査しようと考えております。

先ほどの例で考えます。最も伝えたいことは「まだ調査中である」ことです。

先日、ご報告いただいた不具合についてです。まだ調整中です。サービス設定を確認しています。ソースコードに問題点はありませんでした。吉田さんに助言をいただきながら進めています。

作業が遅れてしまっている理由を述べたい気持ちはわかります。しかし読む側の立場からすると結論が先にあるほうが嬉しいものです。そして結論を先に持っていこうとすると自然と接続詞が使えなくなるのです。

 

格好つけて書いてないか

ついつい、ビジネスのドキュメントには仰々しい雰囲気を与えがちです。自分自身が持っている語彙力以上の能力を発揮させようとしがちです。この場合、以下のような文章をよく見ます。

 

試験を遂行する。計画を実施する。

いかにも重苦しい雰囲気です。しかし「試験を遂行する」は「試験する」と書くこともできます。「計画を実施する」では「計画したことを実行する」ことではなく「計画を立てる」ということだった事もありました。

文章は伝わることが一番です。まずは自分自身が正しく意味を知っている単語を使って正しく伝えられる文章を書くことをお勧めします。

 

心の声

上記の4つを意識すると文章はとても単純になります。しかしそれで良いと私は思います。文章は自身の考えを相手に伝えるための道具です。どんなに正確に書いても伝わらないものは伝わりません。リンゴと書いて赤いリンゴを想像する人もいれば、黄色いリンゴを想像する人もいます。そのリンゴはお皿に乗っているかもしれないし、木に実っているかもしれません。もしかしたらウサギ型に切られているかも。文字は抽象なのです。正確さや具体的を求めるのであれば、相手と会話し、自身の目と耳という感覚を使って伝えるのが良いと思います。

 

以上、ありがとうございました。

猫を助けた話

振り返れば12年前、戌年の元旦、川の中洲に取り残されていた老犬を助けたことから、この話は始まったのだろう。

平成30年、戌年、卯月の某日。同居している祖父母が可愛がっていた野良猫がベランダの近くの物置で子猫を産んだ。

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左上から

  • 短毛茶白トラ毛♂(チャシロ)
  • 短毛三毛♀(チャビ)
  • 毛長三毛♀(フー)
  • 短毛茶トラ毛♂(ヤセイジ)

とても元気な4匹であった。

どうにかしなければ……

野良猫には関わりたくない、というのが本音だった。

しかし、関わりたくないでどうにかなるほど野良猫問題は甘くない。 母猫子猫共に家のベランダに入り浸っているので、それを見た近所の人も餌をやってあげてくれという。

しばらく悩んだ末、私は覚悟を決めて、できるかぎりの最善を尽くすことした。

そもそも猫とはどんな生き物なのか?

私の1番の懸念はご近所トラブルだった。いくら優しい人でも自身の生活環境を乱されれば穏便ではいられないはず。もし私の行動が法に引っかかるものであれば反論もできない。

住むところを追われてしまうような事態になることは避けたかった。

ゆえに、まずは猫という生き物を調べることから始まった。

法律上、猫は愛護動物

愛護動物とは、主に牛、馬、羊などの家畜と、犬、猫、ウサギなどの愛玩動物(ペット)のことを指す。 対比語は野生動物。みだりに傷つけたり殺してはいけない(殺生禁止)。

野生動物とは、鳩、烏、狸などの人間に養われておらず人間社会に属さない生き物を指す。 対比語は愛護動物。 生態系を壊さないために餌付けおよび駆除は基本的に禁止されているが、絶滅危惧種や、作物をあらす害獣の場合は保護や駆除が推奨される。

野良猫の中には野山で鳥や魚を捕まえて狸や狐のように野生に溶け込んでいる猫もいる。これらはそれぞれの人の主観により野猫とされ野生動物とされる場合がある。 つまり、猫を殺しても、殺した人が野猫だと主張すれば野生動物とされて違法にはならないこともありえる。

しかし町中にいる猫が野猫という判断をされることは殆どない。 野猫の中には人を全く知らずに生きて死んでいく個体もいるのに対して、野良猫は人間社会に深く関わっているためである。

したがって、おおよそ町中にいる猫は野猫ではなく愛護動物であり民間人が駆除することはできない。 これは保健所も同じで殺処分を目的での捕獲はできない。

野良猫への餌付けは違法か?

動物愛護法上では違法にはならない。 むしろ近年では TNRC をするために適切な方法で適度な量の餌を与えることが推奨されている。

TNRC とは東京都台東区等で行われている地域猫活動である。世界的に知られている TNR に C を加えた活動をいう。

  • Trap トラップ 捕獲
  • Neutral ニュートラル 中和(避妊・去勢)
  • Return リターン 返還
  • Controll コントロール 管理

野良猫を捕まえ、避妊去勢手術をした後に、元の場所に戻し、ゴミを漁ったり糞尿で町を汚さないように餌をやって躾をして管理する。 つまりは1世代だけの命を地域全体で飼っている猫として見守ろうという地域の取り組みである。

台東区は平成17年から活動を始めて、野良猫の苦情数、引取頭数、路上の死体数が激減したという結果がある。 平成27年には保健所での子猫の引取件数は0件だったそうだ。

psnews.jp

動物というものはとても逞しい。野良猫とて例外ではない。 餌付けを禁止したところで餓死などはしない。小動物や鳥を捕まえることもあるが、すこしゴミ捨場を漁れば餌となる生ゴミを取得できる。 また、基本的に生き物は生命に危険を感じると繁殖能力が上がる。 餓死での頭数減少を夢見るのはあまりにも非現実的である。

想定外の連続

さて、話を近所で生まれた子猫に戻そう。

生まれてしまったからには仕方がない。今まで祖父母のやることを黙認して母猫に TNR をしてこなかった結果ともいえる。私の住む調布市も TNR を推奨していることだし、これは地域貢献になる。

そう、自分を納得させて、親子猫ともに TNR をする計画を始めた。

  • さくらねこ(TNRをした猫のこと)支援団体がしている助成金抽選に申請。
  • 抽選から落ちた時を考えて市役所へも助成金を申請。
  • 手術をしてくれる動物病院を検索。
  • いつでも猫を捕まえられるような環境作り。

さくらねこ♥TNRとは – どうぶつ基金

www.city.chofu.tokyo.jp

だがしかし……。

子猫が怪我をした!

そうして計画を立てている傍らで、チャシロとチャビが首から血を流す大怪我をして戻ってきた。みるからに噛み跡だ。成猫かネズミに噛まれたのか。

チャシロはたいそう苦しそうにしていたが、私は病院に連れて行くことができなかった。ネットで治療費を調べてみると数万円もするのだ。転職したばかりで資金もない私にそんな大金を出す余裕はない。

情けないことに私は自然治癒を願って、ただ様子を見ることを選んだ。

1週間後、より軽症だったチャビは良くなったが、やはり重症のチャシロは傷口が膿んで顔まで腫れ上がってしまっていた。このまま放おっておくと皮膚が壊死する。

……もう病院に連れて行くしかない。

発覚する内傷

それと同時に私はチャビのお腹がポッコリと膨らんでいることに気づいた。もしかしたら首の怪我が原因かもしれない。

もうすでに私の中で資金の心配はなかった。チャシロの状態に早く病院に連れて行くと決めればよかったいう後悔の念が強かったのだ。

病院に連れて行くとチャシロは直ぐに治療に入った。数日後にチャシロは見違えるように元気になった。

結果としてチャシロは助かったが今でも「自然治癒に任せよう」と考えた自分自身が頭をよぎる。苦しい思いを長くさせてしまった。もしかしたら死んでいたかもしれないのにと。

そして、チャビ。腹の異常な膨らみ。

チャビは鼠径ヘルニアにだった。恐らく強い衝撃を受けた際に腹膜が破れてしまったのだろう。このままでは腸閉塞を起こして死んでしまう。

高い治療費の話を聞きながらも私はチャビに手術を受けさせることにした。

祖母との喧嘩

想定外のことは合ったが、無事に4匹の避妊去勢手術が完了した。

支援金の手続きをしたり、逃げ回る野良猫を捕まえたり、遠い病院まで連れて行ったりと、土日はずっと猫のことばかりをしていた私はこれでやっと平和に過ごせると思っていた。

しかし、全員の避妊去勢手術が終わった直後、同居している祖母と喧嘩になってしまった。

「いつまで猫をベランダに彷徨かせるのか。」

猫と人が共存できるようにと奔走していた私の努力を徒労と言わんばかりの勢いだった。

確かに、子猫は私に懐いてしまい、四六時中ベランダに入り浸っていた。 母猫は突然に姿を消してしまったが(およそ事故死)、子猫とはいえ4匹の猫。動物嫌いの祖母にはストレスになっていたのだろう。

何も知らなかった当初は、TNR 後に徐々に餌を減らして追い出そうと思っていたが、地域猫という存在を知った今となっては、それが最善とは思えなくなっていた。まだできることがあるはずだ。

里親を探そう……。

事故再び

まず始めに里親募集をしたのはチャシロとチャビ。この2匹は人好きの猫で、ベランダの戸を開けるたびに飼い猫になりたいとでもいうように家の中に入って出ていかない子猫だったからだ。

チャシロは直ぐに貰い手が見つかったが、チャビは鼠径ヘルニアをしたためか、里親探しは難航した。

後追いで募集をしたフーにはすぐに見つかったのだから、病気や怪我の履歴というのは、よほど人を寄せ付けないことなのだろう。

そんなある日、チャビが姿を見せなくなった。4匹の中でも1番ベランダから離れず、家に入りたがり、餌を貰いたがっていたのに。

心配していた数日後、左後脚を引きずるようにしてチャビは再び姿を表した。

大腿骨骨折の大怪我だった。

そして今

もちろん私はチャビを捕まえて動物病院に直行した。今はもう、チャビは私の猫である。

人を全く信用してなかったヤセイジもなんとか里子に出せるまでになり、来週、里親の元に行く予定だ。

掛かった金額は以下の通り。

  • チャシロの怪我治療費(去勢手術費含): ¥21,876
  • チャビの鼠径ヘルニア治療費(避妊手術費含): ¥50,740
  • フーの避妊手術費(三種混合ワクチン費含): ¥4,644
  • ヤセイジの去勢手術費(三種混合ワクチン費含): ¥4,644
  • チャシロの(一回目)三種混合ワクチン費: ¥7,884
  • フーの血液検査費+(二回目)三種混合ワクチン費: ¥11,664
  • チャビの(一回目)三種混合ワクチン費: ¥7,020
  • チャビの(二回目)三種混合ワクチン費: ¥6,264
  • チャビの骨折治療費: ¥156,264
  • ヤセイジの(二回目)三種混合ワクチン費+その他諸費(予定): ¥10,000
  • チャシロ、フー、ヤセイジの譲渡諸費: ¥8,495
  • 補助金: ¥-24,288
  • 家族からの見舞金: ¥-50,000

計 ¥215,207

総移動距離は下記の通り。

  • 近所の動物病院への往復: 4km x 約10回 = 40km
  • フーとヤセイジの避妊去勢手術の動物病院への往復: 18.8km x 2回 = 37.6km
  • チャシロ譲渡場所への往復: 34km
  • フー譲渡場所への往復: 75.6km
  • ヤセイジ譲渡場所への往復(予定): 76km

計 263.2km

これを見ると、やはり野良猫に関わるのは遠慮したいところである。

けれども、私は猫が飢えたり苦しんだり怪我したりするのを喜ぶ人間にはなりたくなかった。 それは12年前に冷たい川の中に脚を突っ込んで、ずぶ濡れになりながら中洲に取り残された犬を助けた時と同じ気持ちの気がする。 私の貯金は見事に吹っ飛んでしまったが、猫を見るたびに行動を起こしてよかったと思っている。

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チャシロ
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チャビ
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フー
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ヤセイジ

で、チームスピリット Advent Calendar (10日目)の一環で書いているけど職業的な話は?

今は静寂を味わいたい。野良猫のいない静かな土日を過ごしたいんだ。放おっておいてくれ。

adventar.org

以上、猫を助けた話。